2010
新年らしい読書をしてみようとか思って、ずっと放置ぎみの稲垣足穂とか、恩師にもらった数十年前の「現代ヨーロッパの内幕」とかいう本とか(数十年前の「現代」がどんなものだったか、今なら新鮮な気持ちで読めそうな気がしたんですけど……(笑))、引っ張り出して重ねてみたんですけど、結局なんとなく、進まず。
なぜか、「ミス・マナーズのほんとうのマナー」(ジュディス・マーティン著、暮しの手帖社)をごそごそ引っ張り出してきて、読んでいます。
これ、原著は1982年の出版なんですけど、内容は……とにかく、ゆるいんですよ(笑)
いや、たまにシニカルでたまに核心を突いていて、結構納得のいく内容なんですが、全体的にぼーっとしてくるんです。のどかな笑い、というか。
例えば、こんな感じです。
「親愛なるミス・マナーズ
パン用のお皿がないとき、ロールパンが出たら、テーブルクロスの上にじかにおいていいのですか、それとも、料理がのっているお皿の横におくのですか。
もし、バタナイフが出ていなかったら、そのとき使っているナイフ使うのでしょうか。(以下略)
ミス・マナーズの答え
どんなときでも、使えるものを使うという精神でいてください。(中略)
お客に招ばれた席でバタナイフがなかったら、そのとき使っているナイフで代用なさい。そのナイフもなかったら、食べるのをあきらめるんですね。
よいマナーとは、いさぎよくあきらめるしおどきを、知っていることでもあります。(以下略)」
「結婚生活に最低限必要なものは何でしょうか」と聞かれて、「新郎です。」とか。
「私は汗っかきなんですが、どうしたらいいでしょうか」という問いに、「レディは汗をかきません。光り輝いている、というのです」とか。
かと思えば、
「スポーツの試合前に、自分の技量を正直に相手に言うべきでしょうか」という質問に、「言うべきです。しかしラブメーキングのときは、この限りではありません」とか……
久しぶりに読むと、このゆるさと、上品さと、たまに出るこのシニカルさがけっこう、癖になるという……
多分今、一番、私のなかで新年っぽい手持ち本かもしれない(?)