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2024

0424
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2010

0112


 新年らしい読書をしてみようとか思って、ずっと放置ぎみの稲垣足穂とか、恩師にもらった数十年前の「現代ヨーロッパの内幕」とかいう本とか(数十年前の「現代」がどんなものだったか、今なら新鮮な気持ちで読めそうな気がしたんですけど……(笑))、引っ張り出して重ねてみたんですけど、結局なんとなく、進まず。

 なぜか、「ミス・マナーズのほんとうのマナー」(ジュディス・マーティン著、暮しの手帖社)をごそごそ引っ張り出してきて、読んでいます。

 これ、原著は1982年の出版なんですけど、内容は……とにかく、ゆるいんですよ(笑)

 いや、たまにシニカルでたまに核心を突いていて、結構納得のいく内容なんですが、全体的にぼーっとしてくるんです。のどかな笑い、というか。

 例えば、こんな感じです。

「親愛なるミス・マナーズ
 パン用のお皿がないとき、ロールパンが出たら、テーブルクロスの上にじかにおいていいのですか、それとも、料理がのっているお皿の横におくのですか。
 もし、バタナイフが出ていなかったら、そのとき使っているナイフ使うのでしょうか。(以下略)

 ミス・マナーズの答え
 どんなときでも、使えるものを使うという精神でいてください。(中略)
 お客に招ばれた席でバタナイフがなかったら、そのとき使っているナイフで代用なさい。そのナイフもなかったら、食べるのをあきらめるんですね。
 よいマナーとは、いさぎよくあきらめるしおどきを、知っていることでもあります。(以下略)」

 「結婚生活に最低限必要なものは何でしょうか」と聞かれて、「新郎です。」とか。
 「私は汗っかきなんですが、どうしたらいいでしょうか」という問いに、「レディは汗をかきません。光り輝いている、というのです」とか。
 かと思えば、
 「スポーツの試合前に、自分の技量を正直に相手に言うべきでしょうか」という質問に、「言うべきです。しかしラブメーキングのときは、この限りではありません」とか……

 久しぶりに読むと、このゆるさと、上品さと、たまに出るこのシニカルさがけっこう、癖になるという……

 多分今、一番、私のなかで新年っぽい手持ち本かもしれない(?)

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2009

1209

 名前だけはずっと知っていた本なので、まさか絶版ではないだろうと思っていたら、そのまさかだった。
 昔から絶版本ばかり読んでいるので、「最近の出版業界は危ない!」とか、いまさら言わないです、私は。
 自分が持ってる本の五分の四ぐらいが絶版でも驚かないです(調べてみようという気も起きないですが)。


 内容は、第二次大戦下、ドイツ占領下にあるパリを、フランス人の精神から描き出した、抵抗文学の名作……

 抵抗……

 抵抗って、もっと目をいからせてやるものだと思ってましたよ。

 さすがフランス人。

 「ドイツ人がいかに野蛮か」を描くのではなく、「フランス文学がいかに素晴らしいか」「フランスの精神がいかに素晴らしいか」「それを抹殺するのは人類に対する犯罪だ!」ということを、ロマンチズムと優雅なニヒリズムをもって描くわけです。詩的に。
 ある意味、悲恋ものと言ってもいい。
 ドイツ人将校とフランス人の「姪」のやり取りは、それだけで恋愛小説と取ってもいい気がする。それ以上に、将校と「私」、あるいは将校と「私の家」とのやり取りのほうが素敵だと思いましたが。

 訳文が生硬すぎて、とっても読みづらく、フランス文学のエクリチュールを堪能できないのは残念ですが、久しぶりに「フランス文学を読んでる!」という気分になりました。
 そう、自慢できるところはとことん自慢しますよね、フランス人って。
 その上に立って、「源氏物語っていいよね!」とか、他の国の長所も認める熱意があるわけですが。
 私は自分の経験上、フランス人と議論だけはしたくない、パリにはもう二度と行かなくていいや、とか思っていたりするわけですが!(笑)


(話が逸れますが、私はフランスには二回行っていまして、一度はパリからプロヴァンスへ下り、地方都市をぶらぶら回りました。二度目に行ったのは、美術館巡りが不十分だったからで、ルーブルやオルセーに入り浸り、モンサンミッシェルに遊びに行き、北部をメインに巡りましたが、それでフランス好きには……ならなかったという; ガレットは好きだけども!)


■フランス文学なるものへの愛
 この本はある意味、抵抗文学というより、フランス文学への愛を語った物語でもあるので、私もついでに自分の嗜好を語ってみたり。


スタンダール 「赤と黒」は、主人公の造型にもの凄く影響を受けました。面白かった。ジュリアン・ソレルの性格が最高すぎる。「パルムの僧院」は、思わぬところが凄く面白いという謎の小説(恋愛部分も面白いんですが)。主人公の出世→挫折のパターンがいかに面白いかを教わった。
大デュマ 私も世の文学少女よろしく、「モンテ=クリスト伯」に夢中になった時期があるわけです。岩波文庫版の訳が好きだ。「三銃士」の続編は全く理解できなかった。
デュラス 「愛人」の文章は全てが美しく、そしてヤンデレ(え) 青色の描写がこれほど美しい話は他にない。内容はともかく、その文章の引力で、デュラス関連の書籍を漁った時期があります。
アンドレ・グラック ゴシック小説といえばこれ。しかし、「シルトの岸辺」以外は理解できない。私の好きなゴシック的文章の結集。まるでアルハンブラ宮殿のような文章だと思う。
ターハル・ベン=ジェルーン フランス文学の強みは、こういう裾野を含んでいるところにあるわけで。イスラーム世界の桎梏のなかで、もがきつつ光を求める女性の姿を描いた「聖なる夜」が忘れがたい。
金子光晴 もちろん日本人です。日本文学です。しかし、フランス文学の強い影響を受けていると思う。「ねむれ巴里」はアフォリズムの宝庫。「卑俗なものを信じられないほど清冽な筆致で描き出す」フランス文学の本領発揮ではないかと。
「ふらんすデカメロン」 これはフランス古典です。艶笑譚。こういう乾いたエロスは、フランスならではだと思う。「デカメロン」とか「カンタベリー物語」とか、系譜としてはその辺りに連なるんですが、私はこっちのほうが好きだ。
サン=テグジュペリ 「星の王子さま」について語りたいのではないのです。新潮文庫版「夜間飛行」と同時収録されている、「南方郵便機」を一時繰り返し読みました。「夜間飛行」は、立派なものを立派に語った話なので、私にはそれほど興味がないんですが、「南方郵便機」は、「卑俗なものを詩的な美で描く」という点で、まさにフランス文学かと。

 あと、「地下鉄のザジ」とか、他にも数冊、フランス文学っぽいものが転がってたりしますが、今あまり思い出せないのでこのぐらいで。


 フランスの詩はあまり知らないです。ヴェルレーヌとランボー詩集は持ってますが。
 ランボーは確かにいいと思いましたが、訳文がどうにも……難しいですよね。ぴったりしないというか。

 そして私は、オディロン・ルドンのパステル画を愛しています。


 ……フランス人はあまり好きじゃないですが、フランス的なもの、はたまに凄く好きなんですよね……。まあ、他の国でも大抵そうなんですけども(ちなみに国民性が好きだ! と言えるのは、アイルランド、ポルトガル、台湾、フィンランドです)。


■抵抗文学
 私は戦時中の物語が凄く好きだったり……するんですが。
 しかしなんか上で語りすぎたので、それはまた今度別の機会に(笑)
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